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台所太平記 (中公文庫)

発 行 日 : 1974-01
頁   数 : 196
ランキング : 238028
著   者 : 谷崎 潤一郎/
定   価 : ¥ 600
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■カスタマーレビュー

総合おすすめ度: 4.0

軽妙な筆致で描く様々な人間模様
おすすめ度: 4
 谷崎潤一郎晩年(76歳)の作品である。昭和10年前半から昭和30年頃、谷崎自身をモデルにした「千倉磊吉」の邸宅が舞台。主に京都と熱海にある千倉家で働く女中達の様々なドラマがオムニバス風に綴られている。
 昭和の激動期、田舎から出てきた素朴で可憐な少女達が、徐々にたくましく育っていく人情喜劇である。これが実際に起きた話であるかは興味がもたれるが、当然虚実入り混じっているであろう。しかし、谷崎が身近な女中を観察して、小説のモデルにしたようなネタ明かしにも思えてくる。これはあの小説のあの女性に似ているなと思い当たることが多いであろう。
 さて、小説は「瘋癲老人日記」に似た軽い語り口の娯楽小説ともいえる。女性が持っている可憐さとたくましさ、かよわさとしたたかさのような二面性がみごとに描かれている。
 終盤には、谷崎文学お約束の「優柔不断な男と勝気な女」が登場するが、この作品は珍しくもハッピーエンドに終わっている。
 老境に入った谷崎が今まで仕えてくれた女中達へ感謝の気持ちを表わしているのかもしれない。

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